たましいの詩
夜の歌より        ナバホ族   訳/金関 寿夫 



夜よ

あなたはわたしの美しい代理人となる

あなたはわたしの美しい歌となる

あなたはわたしの美しい霊薬となる

あなたはわたしの美しい神聖な薬となる








 
   〜金関寿夫「アメリカ・インディアンの口承詩 魔法としての言葉」
                           (平凡社ライブラリー)より〜

【MEMO】アメリカ文学者、金関寿夫(1918・大正7年〜1996・平成8年)は、アメリカの現代詩とともに、部族で長く歌い継がれてきたアメリカ・インディアンの口承詩も広く紹介しました。「(アメリカ・インディアンの)歌とは、人間と宇宙の中の目に見えない存在との間に交わされる伝達の手段なのだ」と、金関寿夫の本、「アメリカ・インディアンの口承詩 魔法としての言葉」にあります。長い年月、儀礼のなかで歌われ口承されてきた、この美しい詩は心のなかに素直に入ります。ナバホ族の人たちは夜を霊的な存在と信じ、しかも彼らと夜のあいだに垣根はない。歌うことで、夜と人間が交流するのでしょう。夜に心をこめて語りかけ、あなたはわたしの美しい神聖な薬となると歌うこの詩は、詩の原点だと思います。

アメリカ・インディアンの口承詩(金関寿夫・訳)は他に、
たましいの詩3「魔法のことば」へ
人生の詩5「岩」へ
存在の詩4「夜明けの歌」へ



たましいの詩1「歌の火の山」へ
たましいの詩3「魔法のことば」へ
たましいの詩4「ふたつの白鳥]」へ

たましいの詩5「五月」へ
たましいの詩6「黒人は河を語る」へ
たましいの詩7「カサラ」へ 
たましいの詩8「わたしは詩を作ってます」へ

たましいの詩9「発生」へ
たましいの詩10「山の端の月」へ

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